toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

2019-01-01から1年間の記事一覧

清酒酵母について

清酒とは、麹がでんぷんを糖分に分解し、酵母が糖分を食べることでアルコールに変えることで出来上がるのですが、その重要な酵母を各蔵元は、それぞれ自社で培養してる蔵もありますが、大半は、日本醸造協会で販売されてるものを購入するか、各都道府県の工…

アルコール依存症について考える

始め人、酒を呑み、やがて酒、酒を呑み、ついには酒、人を呑む これは、人が酒を飲む時は、始めのうちはコントロールできるが、やがて酔いが回ってくると、酒を味わうどころか、酒に溺れて潰れてしまうこと。 アルコール依存症とは、お酒の飲み方のコントロ…

ピルビン酸

さて今回は、清酒業界では、火落ち菌よりも造り酒屋にとって最も天敵と言われるピルビン酸について調べてみました。 このピルビン酸濃度は、醪の前半で酵母と共に増加し、アルコール10%付近で最大となり、以降は減少すると言われています。 醪中のピルビン…

大豆からできる味噌と醤油

醤油の起源には諸説ありますが、紀元前700年頃の中国:周王朝の古文書『周礼』に『醤(ひしお)』の記述があり、ひしおがその起源ではないかと言われてます。 日本に伝来したのは、縄文時代から弥生時代と言われており、魚を原料としたひしおに似た類のもの…

乳酸発酵食品

ここでは世界中の乳酸醗酵食品について調べてみました。 まず日本における野菜の醗酵から説明します。野菜の漬物を作るのに、まずは野菜にたくさんの塩をかけると浸透圧で塩が野菜の中に取り込まれ、野菜の水分を外に追い出します。 時間が立つと徐々に天然…

旨み(Umami)

現在世界での味覚における基本味は、甘み、酸味、塩味、苦味の4つであり、その他の味はこれら4つの配合比率で証明できると考えられてきました。 ところが1908年(明治41)に池田菊苗博士により昆布からグルタミン酸を単離して、旨みと定義しましたが欧米社会…

清酒と健康

清酒だけでなく、適度の飲酒であれば胃液の分泌を促して食欲を増進し、さらに善玉コレステロールを増殖して心筋梗塞などを予防してくれる他にも最近の研究では、老化や痴呆予防にも効果があるらしいです。 それだけでなく、ガンの抑制に効果があるとも言われ…

酒粕の美白効果?

昔から酒は百薬の長と言われておりますが、酒粕はどうでしょうか? 酒粕にもたくさんの病気の予防効果があることは知られてますし、肌の美容効果も高いことから多くの化粧品会社が開発してます。 酒粕には、シミを薄くしたりする美白効果があると言われてい…

原料米

秋になり、田圃で収穫された種籾の水分は、天気にもよりますが、23~25%もあり、そのままではカビや細菌や昆虫やダニの被害にあいやすくなりますので、長期間の保存をするためには乾燥させることが重要なのです。 今ではあまり見かけなくなりましたが、田舎…

枯草菌

枯草菌(バチルス・サチルス)とは、枯れた草と書いてあるように稲わら、枯れ草、落ち葉等の枯れた草の中に多く存在します。 ですから昔の麹室は断熱材として多くの蔵元で稲わらを麹室の断熱材代わりに使用していたことから、麹室の中に枯草菌が侵入しやすい…

釜屋の朝は早い

酒造りにおいて、一麹、二酛、三造りと言う言葉がありますが、現在でもそれに通ずるとこはあるのですが、やはり良い蒸米ができなければ麹も酒母も造りもすべて台無しになってしまいます。ですから米の洗米と浸漬次第で酒の酒質が大きく変わってしまうことを…

水の加工

清酒製造において鉄分やマンガンがないことはもちろんですが、有効成分としては、微生物の栄養素としてのカリ、マグネシウム、カルシウム、クロールなど酒造りに必要な成分も水の中からと米から供給されるのです。 一般的には不足することはないのですが、醗…

飲む点滴

古くから飲む点滴といわれてきた甘酒。甘酒の歴史は古く、古墳時代にまで遡ります。 奈良時代に編纂された日本書記に甘酒の記述があり、これが起源といわれてます。 平安時代には貴族が冷やした甘酒を飲んでいましたが、その後江戸時代になると庶民にも飲ま…

世界の醗酵酒

お酒とはエチルアルコールが含まれた飲料のことです。製造方法や原材料は様々ですが、共通しているのは原材料から微生物の力でアルコール醗酵させることです。 アルコール醗酵を行うのは主にサッカロマイセス属の酵母ですが、酵母以外にも麹カビ(アスペルギ…

醗酵食品の歴史

醗酵食品は地球上のあらゆる分野で人間の生活と携わり、世界のあらゆる場所で様々な醗酵食品を人類は作りあげてきたことでしょう。 その中でも酒は人類の歴史を映し出しています。たぶん世界最初の酒と言われるものは、猿が果物の実などを集めて蓄えておいた…

造り酒屋と活性炭

江戸時代の三大豪商の一人灰屋紹由と灰屋紹益親子がいました。この当時は、飯を炊くにも、暖房にも風呂を沸かすにも、すべて薪を使用していたため大量の灰が集まったのでした。 この灰の主成分は、カリウムで植物の三大栄養素のひとつです。この集めた灰を地…

造り酒屋での数学

さてここでは清酒業界の人でも特定の人しか携わることのない上槽した後に行う検定から説明します。醪を上槽した後、生製した清酒や酒粕は、かつては税務職員の立ち合いのもとでなければ、販売したり、消費することはできない時代がありました。それほど酒類…

火入と割水(加水)

最近の火入れ方法では、一度瓶詰めしてから一本ずつ火入れする瓶燗方式にしてる蔵元が多くなってきてると聞いてますが、これは一番品質が安定すると言われてるからです。ですがまだまだ主流派は、蛇管による火入れが多いと思われますので、こちらの説明をし…

酒造りは米作りから

さて昔から良い水のある所に酒屋ありといわれるように良い水と肥沃な大地は米作りに欠かせないものです。平成の前半までは、全国各地で作られたコシヒカリが一度新潟のJAに納品されその後、魚沼産コシヒカリとして売られていたことがあると噂されていまし…

黄麹菌の役割

黄麹菌とは蒸米に麹菌を繁殖させて酵素を生成したものです。この酵素の力を利用してブドウ糖やタンパク質を分解してできるのが清酒です。麹菌は空気中の酸素を必要とする微生物ですので、醪の中では生きていけませんが、麹から造られた酵素は残存してますの…

製成・貯蔵について考える

清酒の製造には、上槽した後にも滓引き濾過、調合、火入れ、貯蔵、割水、瓶詰め等せっかく良い酒が出来たとしてもその後の管理で台無しにしてしまうこともあるのです。それを防ぐための具体例を説明していきます。 上槽したばかりの清酒には、不溶性のたんぱ…

利き酒用語

利き酒とは清酒製造に働く者にとっては、日々欠かせない仕事の一部である。利き酒能力の善し悪しで消費者のニーズにあった清酒の品質に直結してしまうため、官能検査は努力して利き酒能力を向上させなければならない。そこでここでは一般的な利き酒用語の説…

酛すり唄(越後)

かつては冬場になるとどの蔵からも聞こえてきたものである酒造り唄、自分も含めて今の若い人達は、聞いたことはあっても唄える人はいないだろう。年配の杜氏さんでも歌える人は少ないでしょう。したがって酒造り唄は民謡化し、作業唄ではなくなってしまって…

生酛造り

生酛は簡単に説明すると、硝酸還元菌が亜硝酸をつくり、乳酸菌が乳酸を作り、酵母菌がアルコールを作りだす事です。ここでは家付き酵母で造る生酛の造り方を紹介していきたいと思います。 酒母米100Kgの場合なら麹米35Kg、掛米65Kg、汲水90Lとし麹は出来るだ…

酒粕の話

昔から酒は百薬の長と言われてきました。呑むべえにとってはありがたい言葉ですが、あくまでもほどほどに飲んだ場合ですよね清酒の薬効成分のほとんどは米麹に含まれていたり、醪の醗酵過程で生まれてくるものです。 清酒には適量飲酒をすることで様々な病気…

戦後の闇市場

戦後の闇市場は、其の当時の配給制度だけでは生きていくためには、栄養が不足していたために自然に出来上がった市場でした。 闇市場では米や野菜や魚、当然ながら人の集まる所にはお酒が欠かせません。 戦時中、石油不足のなか燃料用のメチルアルコールを混…

酒税

酒造りの歴史は神代の昔から語られているが,日本での酒税は酒造りに必要な酒麹売業者に課税したことが始まりらしい。 平安時代朝廷でも酒を製造していたらしいが課税はしてなかったようです。 鎌倉時代の武家社会では酒を飲んで堕落することを嫌い課税するこ…

酒蔵の天敵

清酒にとって最大の敵は火落ち菌であるが、清酒中に火落ち菌が生育すると、清酒が混濁するだけでなく香味も味も悪くなります。 清酒のようにアルコールが存在しても生育できる変わった細菌で、ヨーグルト等をつくる乳酸菌の仲間です。もともと麹を造る際にメ…

醪の話

とりあえず一般的な醪のことを書いていきたいと思います。 仕込み総米は1000kgで説明しますと、麹歩合20%で200kg、掛け米残800kgとします。汲み水歩合は125%だと1250Lとし、1000+1250=2250Lの醪ができます。 まず酒母は7%とすると70kgの酛となります。 …

速醸酒母の造り方

ここでは現代では一般的な酒母の造り方を紹介します。 普通速醸酒母はあらかじめ乳酸を添加することで、雑菌の繁殖しにくい酸性状態にして酸性に強い酵母菌を守ってあげるのです。 ここでは総米1000Kgで酒母米70kgで説明します。酒母70Kgなら水を1.1倍の77…