世界の醗酵酒
お酒とはエチルアルコールが含まれた飲料のことです。製造方法や原材料は様々ですが、共通しているのは原材料から微生物の力でアルコール醗酵させることです。
アルコール醗酵を行うのは主にサッカロマイセス属の酵母ですが、酵母以外にも麹カビ(アスペルギルス)や乳酸菌(オエノコッカス)等により同時に醗酵が進むものもあります。そして一つの原料から醸造酒が出来、それを蒸留すると蒸留酒になる場合と、蒸留せずに醸造酒に酢酸菌を植え付けるとお酢ができます。
例えば、極端な話ですが、ブドウを醸造するとワインができ、ワインを蒸留するとブランデーとなり、ワインに酢酸菌を植えるとワインビネガーとなります。ワインの搾り粕をさらに蒸留するとイタリアのグラッパ、フランスのマール等ができます。あくまでもいろいろありますが、簡単に設明するとこうなります。
その他には、米を醸造すると清酒や紹興酒となり、清酒を蒸留すると米焼酎となり、醸造した清酒に酢酸菌を植え付けると米酢となります。このとき出来る酒粕をさらに蒸留すると粕取り焼酎となります。
この他にも大麦を醸造するとビールとなり、ビールを蒸留するとモルトウィスキーとなり、ビールに酢酸菌を植えると麦酢になります。
モンゴルの馬乳を醸造すると馬乳酒となり、馬乳酒を蒸留するとシミンアルヒモとなります。
サツマイモを原料として米麹と水、酵母を使用して醪を醗酵させた後蒸留され貯蔵したものを芋焼酎といいます。
同じようにジャガイモを醗酵させてから蒸留するとアクアビィット、トウモロコシはバーボンウイスキー、トウモロコシとじゃがいもはウオッカ、ライ麦とトウモロコシはジン、サトウキビはラム、リュウゼツランはテキーラ、このリュウゼツランですが、最初はサボテンの仲間だと思ったのですが違いまして、それではアロエとかの仲間かと思いきや、残念ながらまたまた違いまして大型の常緑多年草らしいです。これを醗酵させて蒸留するとメキシコのテキーラとなります。
その他に蜂蜜を醗酵させてつくるミード等、このように世界にはまだまだお酒の種類はあるけれど、微生物による有機物の変換とは、実に不思議で興味深い分野でありましょう。これからも、もっともっと様々なことに利用されていくことでしょう。