toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

枯草菌

枯草菌(バチルス・サチルス)とは、枯れた草と書いてあるように稲わら、枯れ草、落ち葉等の枯れた草の中に多く存在します。

ですから昔の麹室は断熱材として多くの蔵元で稲わらを麹室の断熱材代わりに使用していたことから、麹室の中に枯草菌が侵入しやすい環境だったために、蔵で働く人にとり、納豆は厳禁だったのです。

もちろん今でも食べないように指導してる蔵元が多いと思いますが、今では化学的な断熱材を使用してる蔵元がほとんどでしょうから納豆菌を麹にこすりつけでもしない限り麹が枯草菌に汚染されることはほとんどないと思います。だからと言って納豆を食べる事をすすめてるわけではありませんが。

ここで納豆の作り方を説明します。まず稲わらを煮沸し、豆を煮込んで藁で包みます。これは煮沸することで、他の雑菌は死にますが、極めて耐熱性の高い芽胞菌の仲間の納豆菌は生き残るために煮豆が醗酵して納豆になるわけです。

このように納豆菌は大豆のたんぱく質を分解して、旨み成分のアミノ酸やビタミン、ミネラル、食物繊維等の多くの栄養価の高い成分を作り出すのです。納豆は原料の大豆以上に栄養豊かな食品なのです。

さらに最近の研究では、納豆には食中毒菌であるO-157に対して抗菌作用があることが判明しています。

江戸時代以前には、腹痛や下痢の治療に納豆が使用されてたようです。それから納豆にはナットウキナーゼという血栓を溶かす酵素が含まれているため、血液が溜まる病気の予防にも効くらしいです。納豆菌は腸内でビフィズス菌を増やし、腸内環境を整える働きもあるのです。

さらに納豆菌には骨粗しょう症に効果があるといわれるビタミンK2もつくりだします。

このように万能薬のように説明してきましたが、この納豆いつ頃からあるのか調べてみてもいまいちはっきりしない事があります。

大豆はすでに縄文時代には伝来しており、稲作も始まっていることからいつできていても不思議はないが、文献として最初に確認できるのは11世紀中ごろの平安時代だった記述が確認できます。

この平安時代末期1051年に源義家八幡太郎義家)が奥州討伐に向かった際に煮込んだ大豆を稲わらにつめて兵糧として馬に担がせていたところ、いざ食事にしようというときに、俵につめた大豆が腐ってしまいました。ところがこの大豆いつもと違う匂いがしたので、恐る恐る食べてみると粘りのあり、噛めば噛むほどおいしい大豆だと気づいたのです。こうして偶然にもできたと言われてます。

日本人にとって納豆とは実に良質な栄養源であり、健康に役立つ存在だったことが改めて感じました。