toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

利き酒用語

利き酒とは清酒製造に働く者にとっては、日々欠かせない仕事の一部である。利き酒能力の善し悪しで消費者のニーズにあった清酒の品質に直結してしまうため、官能検査は努力して利き酒能力を向上させなければならない。そこでここでは一般的な利き酒用語の説明します。利き酒能力を上達させるためには、出来るだけ多く経験することと、利き酒用語を勉強記録してボキャブラリーを増やすこと。

吟醸香(カプロン酸エチル):りんごや梨などの香りに似ている。

カプリル酸エチル:果実様

カプリン酸エチル:コニャックやバラの香りに似ている。

カプロン酸:カプロン酸エチルが分解されずにでてくる香り、ケモノ臭と言われる。

新酒香(こうじばな):上槽したばかりの新酒特有の香り、加温すると分かりやすい。

酢酸イソアミル:メロンやバナナや梨の香りに似ている。

イソアミルアルコール:若いバナナ

イソバレルアルデヒド(イソ吉草酸エチル):生酒特有の劣化臭、ムレ香は生酒の酵素作用によるもので火入れしても取れにくいので限外濾過をかけるか早く火入れすること

イソあみるアルコールの酵素的酸化による。

酢酸エチル:パイナップル等の果実に含まれる香気成分で吟醸香の一種であるが多すぎるとセメダイン臭に感じる。

カビ様臭(トリクロルアニソール):主にワインのコルク栓からくるカビ臭で、清酒にもともとあった香だったが、精白が高くなることにより目立ちやすくなっりました。

アセトアルデヒド(木香様臭):醪中のピルビン酸が消えない内にアルコールを添加したり、若い醪を早く上槽すると青臭い木香様臭がつきます。

ジアセチル(つわり香):ヨーグルトの様な香で腐造醪や火落ち時に見られるが、若い醪や後半冷却し過ぎても出やすい。つわり香がでてしまった場合の矯正方法としては、MC炭素などによる脱臭や醪を2,3%からませて一週間ほどたつと酵母の自己消化により還元されつわり香はなくなります。ちなみに醪を濾過して60℃位に加熱するとつわり香になるかどうか判別できるようになります。

火落ち香:火落ち菌の繁殖により変質する匂い。つわり香に類似している。

酵母臭:糠臭い感じの匂い。醪末期に醗酵が弱まったときに出やすい。

酸臭:腐造、酸敗したときにでる酢酸臭。

木香:樽の杉からくる匂い。樽酒の香り。

炭臭:活性炭素の使用量が多い場合。

濾過臭:濾過綿や紙からくる匂い。

ゴム臭:ゴムホースから移る匂い。

日光臭:日光の影響で生じる特異な不快臭。なま臭い香り。

甘ダレ:生酒保存中のグルコース、残存したでんぷんを酵素が分解

DMTS:漬物臭,老ね香に似ている。

4ビニルグアヤコール:4VGと呼ばれ、近年指摘される匂いだが、麹が汚れているとでやすい。燻製やスパイスのような匂い。

穀類様:穀類を連想させる香り、白米臭。

糠臭:糠を連想する香り。

カラメル臭:甘く焦げたような香り。

粕臭:古くなった酒粕の香り。

以上のように利き酒用語を並べてみたが、経験を重ねることが重要なことは言うまでもありません。