toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

造り酒屋での数学

さてここでは清酒業界の人でも特定の人しか携わることのない上槽した後に行う検定から説明します。醪を上槽した後、生製した清酒酒粕は、かつては税務職員の立ち合いのもとでなければ、販売したり、消費することはできない時代がありました。それほど酒類製造業者は税務署にとって、かなり優良な税金の負担者だったことでしょう。そして清酒の製造では、様々な製造歩合を計算します。この目的は、一定量の白米から何Lの清酒や何Kgの酒粕ができたか、この各種歩合は、製造管理や酒税検査、原価計算などに使用されます。この歩合を管理することにより、酒質の善し悪しや製造原価の利益率なども見えてくるのです。それではまず留即歩合について説明します。

留直後の仕込んだ白米の容積率を図ることで米の硬軟を知る事ができます。

留即歩合(白米歩合)=(留即時醪のL数)ー(汲み水)÷(白米Kg)×100です。例えば白米1000Kgで汲み水130%でやや溶けたと仮定すると、2350L-1300L÷1000Kg×100=105%の留即歩合となります。つぎに清酒歩合を説明します。

原料白米100Kgから清酒が何L出来たかを表します。アルコール添加が多くなれば清酒歩合は高くなります。

清酒歩合=清酒L-原料清酒L÷白米Kg×100

例えば白米1000Kgで2300Lの本醸造なら2300L-386L(30%アルコール)÷1000Kg×100=195%の清酒歩合となります。

原料粕換算率とは、酒粕Kg÷1.1となるので、300Kgなら300÷1.1=272Lとなります。

次に醪熟成歩合とは仕込んだ米が何Lになったかを表します。

醪熟成歩合=上槽前醪ー汲み水ー30%AL-原料清酒÷白米Kg×100

例えば、白米1000Kgで汲み水130%、留即2350L,30%AL386L添加したとする。

通常、醪は醗酵する間に減少しますので、2350Lから100L減少したと仮定すると

2250L+386L=2636Lの醪ー1300-386÷1000Kg×100=95%となります。

次に醪たれ歩合ですが、醪100Lから何Lの清酒が出来たかを表すものです。

醪垂れ歩合=清酒L÷上槽前醪のL数×100となります。これを上記を参考にすると

2300L÷2636L×100=87.2%となり醪100Lから87.2Lの清酒ができたことになる。

アルコール収得歩合とは、原料の白米から製成された純アルコールが、白米100Kg当たり何Lになるかを表す酒化率です。

白米1t当たり純アルコール収得歩合=(清酒の純アルコール)ー(アルコールの純アルコール)ー(原料清酒の純アルコール)÷白米Kg×1000 例えば白米1000Kgで2300Lの本醸造アルコール分19%の醪に30%アルコール添加386Lとすると(2300L×19%)-(386L×30%)÷1000Kg×100では43700-11580÷1000Kg=32.1%となります。

この他にもまだまだ歩合がありますが、また次回にしておきます。