toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

戦後の闇市場

戦後の闇市場は、其の当時の配給制度だけでは生きていくためには、栄養が不足していたために自然に出来上がった市場でした。

闇市場では米や野菜や魚、当然ながら人の集まる所にはお酒が欠かせません。

戦時中、石油不足のなか燃料用のメチルアルコールを混合して密造されたバクダンと呼ばれた酒が闇市場で売られ、メチル中毒のために失明したりと焼け野原の酒呑みたちの命を奪いました。全国で二千人程が亡くなったと言われてます。

その後、密造されたイモ焼酎のカストリと呼ばれた大変匂いのきつい焼酎なども販売されてました。

やがて戦後4年も経過すると本物の粕取り焼酎やビール、日本酒の到来で消えていった。

しかし日本酒は、米不足からアルコールを混ぜて造る3倍増醸酒ができてしまい、その後の日本酒の素晴らしさを消費者から遠ざけた一因となりました。この三増酒のために清酒は頭が痛くなるとか、二日酔いになりやすいとか言われるようになってしまいました。

先代の蔵元から聞いた話ですが、この酒不足の時代に温泉旅館などに日本酒を配達すると女将たちに大変喜ばれ、頼んでもいないのに芸者をあげての接待までしてくれたと言います。本当ならうらやましものですね。

食べるのにも大変な時代のはずなのにどこにいても酒呑みはいるものですね。