toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

製成・貯蔵について考える

清酒の製造には、上槽した後にも滓引き濾過、調合、火入れ、貯蔵、割水、瓶詰め等せっかく良い酒が出来たとしてもその後の管理で台無しにしてしまうこともあるのです。それを防ぐための具体例を説明していきます。

上槽したばかりの清酒には、不溶性のたんぱく質デキストリン、でんぷん、繊維、酵母が含まれているため濁っています。この濁りを滓と言います。

この滓を静置して時間を置くと白い混濁物はタンクの底に沈殿します。

上の部分の液体を別のタンクに移動することを滓引きと言います。滓引きをせずに長く放置するとαアミラーゼによりたんぱく質アミノ酸、でんぷんが糖質に変化し、酵母が自己消化したりして清酒の香り、味色、熟度の悪い影響を与えるのを防ぐために早く濾過をするか火入れをすること。

このとき清酒は空気に触れる機会が多いと酸化しやすく、袋香等が出やすくなるので注意する。滓引きで残った清酒はまだまだ大事な会社の資源です。できるだけ早く滓引き専用の濾過機などを使用しましょう。ない場合は欠減処理かな?税務署的にはまずいかな?

滓引き後の清酒には、まだまだ微細な粒子が含まれているため、活性炭濾過をおこないます。

最近では、SFフィルターなどの高品質の濾過機の台頭により、軽く濾過をかけただけで出荷している蔵元もあったり、わざと濾過をかけずに無濾過をうたい文句にして販売している蔵元も多いです。まあこれは早い火入れをすることが前提でしょうけど。

話がそれましたが、次には濾過機の種類について説明します。ちょいと古いタイプのリーフ型はステンレスの網に丸い綿布でをかぶせて濾過助剤をプリコートして使用します。

大型のフィルタープレス型は大手の酒蔵だけでなく、ビールメーカー等でも使用される万能型ですね。濾過の処理能力も1000Lから20000Lと幅広く、時間を長くできるならもっと濾過を増量させることも可能です。使用方法は、濾過助剤をプリコートして使用。

カートリッジ型は円筒形で、清酒の仕上げ濾過に使用。

メンブレンフィルター型は、円筒形と横型があり除菌の目的で清酒の仕上げ濾過に使用される。MF濾過は、ミクロフィルターで0.2μ前後の粒子を濾過除菌目的で仕上げ濾過用。

次にSF膜濾過は、中空糸型多孔膜による精密濾過は細菌は除去できるが、酵素は除去できない。

最後にUF濾過(限外濾過機)孔径は、0.01~0,001μmで生酒中の酵素も除去できるため、大手の酒蔵の生酒が常温で流通できるのもこの濾過機あってのものです。以上いろんな濾過機がありますが、酒質に合わせた濾過をすることが大切だと思います。