造り酒屋と活性炭
江戸時代の三大豪商の一人灰屋紹由と灰屋紹益親子がいました。この当時は、飯を炊くにも、暖房にも風呂を沸かすにも、すべて薪を使用していたため大量の灰が集まったのでした。
この灰の主成分は、カリウムで植物の三大栄養素のひとつです。この集めた灰を地方の田舎の豪商農家に肥料として販売したのである。
この他どこに売ったかって造り酒屋でございます。この江戸時代まだまだ酒を大量に腐らせることもたびたびあったものですから、酸っぱい酒になってしまうと売り物にならないので、灰の主成分のカリウムはアルカリですので、酸度の高い酒と中和として使用してたのです。何とも先人達の知恵はすごいことです。
この灰、今では活性炭として清酒の脱色や日光着色防止力、雑味の除去、香味の矯正除去などに使用されるようになりました。そして昭和15年の日本酒級別制度によりますます清酒に使用されるようになるのです。
何故かというと、その級別制度に問題があるのですが、清酒が無色透明であるほど、成績がいいという今となっては、矛盾だらけの制度なのですが、特級になれば酒が売れるからやめられませんし、国税庁としても特級のが税金が高いので税収を考えるとやめられません。
そんな中でも良識のある蔵元では、炭を極力使用せずに、清酒本来の旨みを残そうとするとどうしても色が黄色く見えてしまうため、二級酒や三級酒として細々と販売してきました。
この級別制度も時代の流れの中で、政府としてようやく平成に入り、動き出し平成4年に級別制度の廃止となり、新たな特定名称酒が誕生したのである。まだまだ活性炭を使用している蔵もたくさんあるでしょうが、これからは炭を使用しないでもおいしい清酒に変遷していくことでしょう。
そしてこの活性炭、清酒にいれるばかりでなく、脱臭に最適ですから、麹室の外側に貼り付けてる蔵元があるとも聞いたことがあります。なんでもマイナスイオンの働きで麹菌の働きがパワーアップするらしいです。ほんとかどうか分かりませんが、体の健康にもいいらしいので信じたいものです。
最後になりましたが、活性炭の表面には大小の孔が多数あり、その穴の大きさに合わせた色や雑味、異臭等を吸着するほかに、着色防止、過熟防止等の効能があります。使用方法として、孔の小さいものが異臭とり、孔の大きいものが着色とりになります。用途に合わせて上手に使用してください。