toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

速醸酒母の造り方

ここでは現代では一般的な酒母の造り方を紹介します。

普通速醸酒母はあらかじめ乳酸を添加することで、雑菌の繁殖しにくい酸性状態にして酸性に強い酵母菌を守ってあげるのです。

ここでは総米1000Kgで酒母米70kgで説明します。酒母70Kgなら水を1.1倍の77リットル、水100リットル当たり700mlなら乳酸540mlをタンクに入れます。

その後出麹した麹30kgを入れ、優良な酵母菌を大量(培養酵母なら300ml以上)に入れます。水麹の温度は10℃とすると蒸米温度=(20℃ー10℃)×3.5+10℃となり蒸米温度を45℃にして仕込む。

その後夕方に汲みかけ器を入れひしゃくで延々とすくうか自動汲みかけ機があればいいですね~。確か20万位だった記憶があります。冬場なら少しずつすくっては元に戻す作業をしなくてはなりませんかね。

次の日の朝十分に糖化された酒母は寒い冬なら8~10℃になります。

その後60~70℃のお湯をいれた暖気樽を入れ、櫂入れをしながら品温を2~3℃上昇させます。この時タンクに断熱材をまくのを忘れずにしてください。

寒い冬ではすぐにタンクが冷めてしまうので断熱材をタンクに巻いてあげないといつまでも温度が上がりません。意外と酛師1年生だと緊張して忘れる人いるんですよ。

酒母3日目になると最高ボーメ16.0位ならいいですが、これ以上なら16.0になるように適切に追い水をすることで濃糖状態を解消してあげないと酵母に負担がかかり増殖しにくくなりますので注意が必要です。酸度は4.0以上欲しい所です。

4日目には、行火と言われる下から熱を加えて上げ、2~3℃品温をあげます。(昭和30年頃までは暖気樽法だけだったらしい)

5日目になり品温が15前後になると膨れと言われる酵母も増殖し炭酸ガスも出てきます。このとき元気な酒母なら硫化臭(硫黄の香り)がでることがありますが、心配いりません。

酒母の表面が筋泡状になってきたら湧き付きとなり、ボーメが切れ始めますのでもう安心。

あとは品温をキープ(17~18℃)して酛下げまで待ちます。しかしいつもいつもうまく行くとは限りません。酛下げに間に合わないという時は熱めのお湯を追い水するとか品温を無理に上げたりしなくてはなりません。

あまりお勧めはできませんが、若い酒母を使用しますと醪の切れが悪くなりやすいので、注意が必要です。