toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

麹の話2

さて切り返し終了後、次の日の朝8時盛りと呼ばれる作業がありますが、これもまた切り返し同様に大変重労働な作業なのです。

朝の8時だと切り返し後16時間たつとぽつぽつと蒸米の表面に増殖した麹菌が肉眼で見えるようになります。

このとき品温は、32~33℃位で破精が見えるようになるとだんだん発熱し始めるので蒸米を小分けにして水分の蒸発を促してやらねばなりません。

最近ではどこの蔵にもあると思いますが、切り返し機に蒸米を入れて細かく砕いてあげるのです。それから一定量ずつ箱に移し換えたり天幕に入れたりと蔵に寄り切りですが、最近ではタライ麹と言って10kg位の洗面器やプラスチック製のタライに移し換えたりして水分の蒸発を促し品温の上昇を抑えたりするのです。

盛り後夕方16時以降、蒸米の品温35~36℃に上昇したら仲仕事をします。仲仕事は蒸米に手を入れることにより、蒸米水分の蒸発を促し、又は酸素の供給と品温の均一化を目的としてます。

蒸米は朝よりさらにパラパラとなり青臭いニオイがするようになります。

仲仕事ごだいたい夜の20時から22時くらいに蒸米品温39~40℃に上昇後、仕舞仕事と呼ばれる手入れをして、蒸米をさらに広げて品温を37~39℃にします。

このとき麹特有の栗香と呼ばれる甘い香りを感じるようになります。仕舞仕事後は41℃~43℃の品温をキープできるように蓋麹なら3~4時間おきに積み替えてあげたりと昔ながらの造り方をする蔵ですと麹師さんにとっては寝不足の毎日が続くのです。

最近では杜氏くんなるロボットや天幕式や自動製麹機なる便利な機械の導入により以前よりはだいぶ楽になっていると感じております。

次の日の朝9時から11時頃、出麹をしますが、40℃もある麹を一気に外に出してしまうと結露してしまいますので前麹室や枯らし場とか呼ばれる部屋に麹を移し換えて次の日まで乾燥させます。

出麹には、総破精、突き破精、バカ破精、ヌリ破精、破精落ち等と出来の良い麹とそうでない麹と造り方によっては酒質に悪い影響を与えてしまう麹もあるのです。

そして極めて面倒な麹がぬめり(すべり)麹と呼ばれる枯草菌(納豆菌)に汚染された麹ですが使用できないわけではありませんが酵素力価も弱いので衛生には気を付けたいところです。

がしかし昭和50年~60年過ぎに麹室の断熱材を稲わらで代用してたのですから枯草菌に汚染されやすい環境だったのです。しかしながら最近では化学物質に代わって以来、枯草菌に汚染された蔵があるとは聞かなくなりました。

ここだけの話ですが、納豆菌は高温多湿の部屋でつくりますから清酒麹に納豆をこすりつけでもしない限り、乾燥している清酒麹の中では繁殖しにくいと思いますが、・・・出来ませんよね~。

その他に最近では細菌酸度の高い麹を使用すると腐造の危険もありますし、4VG(燻製の香り)などのオフフレイバーにつながります。