toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

酒蔵の米洗い

精米した酒造好適米を2週間ほど枯らしてから洗米していくわけですが、昔は半切り桶に冷たい水を張り足で踏んだり、手で手洗いをしたりと過酷な環境だったことはご存知のかたも多いと思います。

半切りで手で洗う場合は、10Kgごとにざるに入れて冷たい水(5℃から6℃)に手を入れ1分程洗い、一度外に出してもう一度1分程洗い、最後に掛け流しを数秒してから浸漬して5分から10分程待ち、ざるを上げて水を切り目標の水分麹なら30~35%、掛け米なら22%~30%と造りたい酒質に合わせた水分にします。

この時冷たい水を使用するのですが、これは寒い冬には白米も当然低温なのですが、水と白米の温度差があると割れやすいためであり、吸水熱と言って米が水分を吸水するとあら不思議、温度が上昇してくるのです。

と言う事は雑菌に汚染されやすくなるのです。雑菌に汚染されると赤飯という茶色い蒸米ができてしまいます。だから冷たい水で洗う必要があるのです。

以前若い女子が米を洗うのに洗剤を入れたり手が冷たいからと言ってぬるま湯で洗ったとか聞いたことがありますが、言語道断ですね~。

つい最近でも、ある蔵元で、甑で蒸かした後すぐに次の日の準備のために用意した洗ったお米を甑を洗わずに甑のなかにいれておいて、次の日に蒸かしてみたら赤飯になってしまった。と聞きました。これは甑を十分に冷却しないうちにお米を張ったため、雑菌の繁殖しやすい30℃~40℃ぐらいの時間が長くなったからでしょう。

ちなみに赤飯がでたからといって、使用できないとわけではありません。ただ醪で見た目が悪くなるのと、酒粕が茶色になりますので、注意しましょう。