toujinomichiの日記

酒造りの四方山話

ユネスコの文化財登録について

南部杜氏夏季講習会に行きました。

新型コロナの影響で、4年ぶりの参加となりました。

自分も含めて久しぶりの講習会の参加のためか新人さんの受講する特科コースの受講者が50人以上いたらしく、急遽会場が変更になったらしく、冷房の壊れた会場にて扇風機が虚しく回っていたそうです。

今週の岩手県の気温は、35度前後でしたから暑くて勉強になったか心配です。

それから最終日の特別記念講演で文化庁の参事官付専門官の方による伝統的酒造りのユネスコへの無形文化遺産への登録に関する講演を聞きました。

この方大分異色の経歴を持つ方で、東京大学を卒業後、国税局の酒類専門の鑑定官室を渡り歩き、文化庁に出向しているそうです。

日本政府として国内外からの関心の高まりを受け、日本の食文化の普及を推進するための組織だそうです。

中国の紹興酒も麹を使った酒ですが、クモノスカビを使って生のもち米で造ります。

日本の場合は、うるち米を蒸した上にアスペルギルスオリゼー(日本麹カビ)を使用します。

そんな日本酒はいつ頃、どのようにしてできたのか?

米麹を使用した酒造りのことが、最初に出てくる文献では、奈良時代初期(713年)の播磨の国の風土記です。

ここでは神様に供えた蒸米が濡れてカビが生え酒になったと記されているそうです。

これが文献に残る最も古いものとされていますが、魏志倭人伝では3世紀頃の邪馬台国について、倭人は酒を嗜むと書かれていたらしくこの時代にはすでに酒は飲まれたいたと推測できます。

ただこの時代にはすでに酒が飲まれていた事は確かめられるが、どんな酒だったのか分かりません。

この当時の人達は米は今の時代のように水と一緒に炊くのではなく、甑(こしき)と呼ばれる蒸し器で蒸した強飯(こわめし)として食べていたらしい。

そして甑は、縄文時代後半の遺跡から出土していますし、水稲栽培が広く普及した弥生時代にも出土しているのです。

という事は、この蒸した強飯の水分量は、たまたま麹カビの繁殖しやすい35〜40%の水分量なのです。

炊いたり煮たりした米では、水分が多過ぎてカビの繁殖がしにくいのです。

蒸した米ならば、カビが生えやすいのです。

そこにたまたま野生酵母が取付きアルコール発酵したと考えられるのです。

古より伝えられてきた酒造りは、日本の文化に根付いてきたのです。

日本酒は、米のでん粉質を糖分に変えるために麹菌を使うという活気的方法だけでなく、麹菌のもたらす栄養素や酵素の働きにより、より味わい深い複雑な味をもたらすのです。

麹菌を使った技術は、地域ごとに発展を遂げ醤油や味噌、みりん、焼酎、泡盛等様々な発酵食品を生み出したのでした。

後2年後位には、ユネスコ無形文化財に登録されるらしいですので、楽しみにお待ち下さいとのことでした。